道道987号 豊似広尾線 探索記 2020/6/5 6/6
(ツイッターでの趣味の集まりをこう呼ぶらしい)のつぶやきから、
いろいろと情報を得る中で、豊似広尾線というぶつ切りの未成道のことも目に入った。
道路の線形は複雑で、未完成、しかも完成箇所も通行止めで走破は難しいらしい。
(以下、地図はすべて国土地理院の地形図より。
赤字の注釈は筆者による。)
野塚川のあたりで道道を表す黄色線が途切れているのが分かるだろうか?
豊似広尾線なので本来は北から南、豊似川から野塚川、
札楽古川を経て広尾の町中へと辿るのが正しいが、
今回は日程の都合であっちこっちぶつ切りで見て回ることになった。
まずは広尾市街地から広尾小学校の旧校舎?を横目に、西へと進んでいく。
右手に山、左手に農地を見ながら道は伸びている。
なかなか気持ちのいい道…。
1~5の向きで走っていった。(クリックで大きくなります)
写真1の地点、広尾側のゲート。開放されているものの、
「楽古ベツー茂寄幹線」間で通行止めの標示。
写真2の地点。ここからダート。
写真3、締まった砂利ダートで路面は良好。
写真4、峠を抜けてちょっと開けてきた。
写真5、パンケ札楽古川を渡ったところでまたゲート。
この手前から再び舗装路となる。
写真6、札楽古川を渡る赤い欄干の札楽古橋。
ちなみに楽古の読み方は「らっこ」。かわいい。
写真7、ゲート。左右に基幹農道と思しき道が交わっている。
写真8、農地の中を伸びていく道道と赤いゲート。
道道の標識はあるものの、先ほどの農道か町道と思しき道のほうが、
こちらよりよっぽど立派である。
地図によっては、ここから先は道道として表記していないこともあるようだ。
また、ヤフー地図だと、写真7地点から109.0三角点への脇道も道道扱いになっていて、
さながら楽器のトライアングルのようないびつな形になっている。
旧道なのかな?
まぁ進みましょう。
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写真9、道は再び山間へ、3.0t制限の小さな橋を渡り、分岐に突き当たる。
写真10、中楽古林道との分岐点、道道指定はどうやらここで中断らしい…?
このときは気づかなかったのだが、中楽古林道を辿ると、
野塚川の向こうの道道の続きに出られるようだ。
写真11…それなのに別の分岐にずんずん進んでしまった。
こちらは野塚川線というらしかった。
(なかなか見晴らしのいい箇所もあったし、まぁいっか)
この日は晩成温泉に泊まるため時間切れ、翌日、反対側からの走行となる。
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国道236号から道道987号の起点へ。最初は二車線の舗装路。
写真12、花春の最終民家(左手)のところでゲート。
写真13、カシュンナイ川を渡る小さな橋。
この手前で一車線となり荒れてくる。
あんまり人の入っている気配がない、ヒグマの出そうな雰囲気。
写真14、通行止めのゲート。
森の中にひっそりと佇む色褪せたゲートに、思わず心が躍ってしまう。
道道はこれから山の中へ進むのだが…。
写真15、ゲートから先を覗くと、標識は笹に埋もれている。
道路自体は割としっかりしているので…。
写真16、ゲートから先に進んでみる。
写真17、かなりの急勾配で、ハァハァ言いながら上っていく。
当然クマ鈴装備です。
写真18、路面はかなりもろく、雨でえぐれている場所もいくつか。
この区間はずっと通行止めらしいけど、それも無理ないかな。
ヘアピンになってる箇所の勾配がちょっとね。直してもすぐ崩れると思う。
写真19、平成9年までは手が入っていたらしい。
それから20年以上経ったにしては道の状態が良いことから、
たびたびメンテナンスは入っていると思われるが…。
上りは途中で諦めて、山の反対側からアプローチすることに。
上野塚の道道は地形図だと黄色線のようになっているのだが、
写真20の地点に通行止め標示があることを考えると、赤字のほうが正しいのでは…。
写真20、またも畑の中を突っ切る道路と通行止めの標識が。
こっちが道道だと思うんだけど。
写真21、さっき越えられなかった山並みが眼前に。特に名前はないらしい。
写真22、山裾にゲートと道道の標識があった。
農地を突っ切った先にある、草ボーボーの風景とは不釣り合いな青色のヘキサ。
まるで一つのアートのようで、その場にしばし佇んでいた。
写真23、ゲートから先に進むが、いきなり「その他の危険」の標識。
畑が近いせいか、ヒグマの気配は薄いように感じる。
(後日ツイッターでの地元の人の情報によると、まさにこの地点のすぐそばで、
くくり罠にかかったヒグマがおったそうな。)
写真24、しばらくは高低差のゆるいルートが数百メートルほど続く。
写真25、勾配のきつくなるあたりでいきなりの倒木、ここで断念。
距離的にしてもあと200メートルくらいなんだけど、ここだけ制覇できなかった。
やっぱりこの区間がネックになるな。
ただ、ここを通したところで、誰が利用するんだろう?って感じ。
周辺住民も数十人かそこらだろうし。
この倒木は、先ほどの地元の方が、鋸で切ってくれたそうな。
その方はこの先の峠の部分も含めて走破したそうな。
ふもとに戻り、残った区間を舐めつくすことにする。
本当にこんなぶつ切りでカクカクした道路が道道なのか?という疑問はすぐに解ける。
写真26、きっちり道道の標識があるんだもんな。
この先は、野塚川を渡る前に道道としてはぶつ切りになっているはずだが、
中楽古林道を通じて昨日の楽古側に抜けられるはず。行けるところまで行ってみた。
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写真27、野塚川林道にぶちあたる。ここで道道は終了だろう。
やや動物の気配が濃い林道を直進していく。道路の状態は良い。
写真28、野塚川を渡り、真新しい築堤の上を走る。
写真29、逆側から。
本来ならこのあたりで中楽古林道と接続するはずだが…。
写真30、築堤の上から中楽古林道方面を望む。
道路は完全に崩壊したようだ。2016年の台風の影響かな?
これにて豊似広尾線の行けるところは終了。
あっちこっち通れたり倒木やゲートに阻まれたりと、
長くなった豊似広尾線だけど、開通してる区間は総じて走りやすく、
また農地に伸びていく轍と、道道の青い標識のコントラストはとても美しかった。
物好きな方々にはぜひともその目で見てもらいたいもんだ。
おわり