のんびり自転車ダイエット in札幌 ver.2

yahooブログから引っ越しました

憎むべし、電位治療器。憎むべし、悪徳商法。

ブログの趣旨とはかなり外れた話題になりますが…

電位治療器というものをご存知でしょうか。
巷ではヘルストロンとか、コスモドクターとかいう名前で売られています。
人間の体内に電流を流し、それによって頭痛・肩こり・便秘・不眠等を治すという医療機器です。

http://www.hakuju.co.jp/

家の近くにヘルストロンの無料体験会場があります。毎朝、年寄りが9時前に建物の前にたむろしています。
うちの亡くなった祖父も持病を抱えていて、口コミで評判を聞いたのか、会場に通うようになり、
やがて65万円の椅子型の電位治療器を購入してきました。
そして、病床につくまでずっと、効果を信じ続け、1日30分、かかり続けました。

問題は65万円という値段ではありません。
確かに、椅子のつくりはどう贔屓目に見ても数万円程度のもので、
背もたれに体重をかけるだけで椅子本体がしなるようなチープな出来でした。
しかし、本来の効能を謳った上での販売なら、決して高いとは思いません。
頭痛や便秘が治るならば、65万円でも安いと思う人はいるでしょう。
結局は人それぞれの判断なわけです。

問題はその売り方です。
前述の通り厚生省に認可された本来の効能は、頭痛・肩こり・便秘・不眠症です。
これ以外の効能を宣伝すれば、薬事法違反となります。
ところが体験会場では、体内の血液をサラサラにする、血行をよくするから万病に効く、
などと説明しています。
また、ここまで具体的でなくても、例えばある人が椅子に半年かかり続け、高血圧が治っただとか、
ある人はアトピーが、高脂血症が、リウマチが、などという、”体験談”を紹介するのです。

つまり、本来の効能とは外れたものを、直接効果をうたっては法に触れるから、
さも効果があるように”ほのめかし”、買う気にさせるわけです。
あなたに効くかは保証できませんが、どういうわけか治った人がいます、と。
販売対象は主に、生活習慣病などの持病を抱えたお年寄りです。

こんなことは他の医療機器や、薬品には見られないことです。
頭痛薬だろうと、下痢止めだろうと、マッサージ機だろうと、
臨床試験をクリアし、厚生省の認可を受け、それぞれの効果をはっきり明記した上で販売されています。

たとえば、アレルギーを抑える薬に含まれている、塩酸ジフェンヒドラミンという成分には、
眠くなるという副作用があります。この副作用を利用した上で、厚生省のチェックをスルーし、
市販されているのが睡眠改善薬のドリエルです。
アレルギー用の薬をそのまま睡眠改善薬として売ることは許されません。

これが正しい医薬品や医療機器の販売方法だと思いますし、それ以外の方法で売られているものは、
僕は全てインチキだと思っています。
なぜなら、効果があるのなら認可を受ければ良いのです。
そうすれば、おおっぴらに○○に効く、と宣伝できるはずです。
アトピーや高血圧に効果のある治療器がたったの65万円ならば、飛ぶように売れるでしょう。
なぜ、営利企業がそれをしないか?小学生でも分かる理屈です。

また、万病に効果のあるはずの電位治療器は、なぜか中古市場に大量に出回っています。
ウン十万円もする代物が、どうして大量に出回るのか。
これは効果がなくてすぐ手放した人間が、いかに多いかを具体的に表す事実だといえるでしょう。

ネット上で、私はこんなに効果がありました!と鼻息を荒くしている人がいます。
こういう人たちには、きっと悪意はないのでしょう。
自分が良くなったのだから、純粋な好意から、他人にもすすめたい、と。
しかしその好意は、周囲にとっては迷惑で、無責任なものでしかありません。
効いた原因もろくに説明出来ず、厚生省の認可も受けていない。
そんなものを、”たまたま自分に効果があった”からといって、他人に勧めるというのは、
極めて無責任で、能天気で、浅はかで、滑稽で、馬鹿で、救いようがない。
ある意味では幸せとも言えますが。
こういう図式は、カルト宗教にも良く似ています。

長くなりましたが、病人の布団をはぐような、こうした商法を許すことができません。
うちの祖父は残念ながら引っかかってしまいました。
皆さんも、身内の方や友人が騙されないようにしてください。


※2010/2/6時点のコメント魚拓
http://megalodon.jp/2010-0206-1752-23/blogs.yahoo.co.jp/pontukux/18718300.html

※2012/2/29追記
たまにコメントを下さる方へ。
このブログももう、開設から6年が経とうとしています。
この記事を投稿した頃に比べて、今では考えが少々変わったところもありますが、
文章は当時のまま残しています。



※2015/10/30追記
ヤフーブログのアクセス解析で、いまだに10年前のこの記事にアクセスがあることを知りました。
現在の考えを申し述べます。

特に認可云々の記述について。
医薬品に関わらず、世の中のありとあらゆる製品の宣伝文句に、厳密に根拠を求めていくと、際限がない。
宣伝と言うものは大なり小なり、消費者の誤解を誘い、期待を招くように出来ているし、
国としては法規制により最低限の線引きしかできない。
あとは消費者の知識や判断力、事業者の良心、それぞれが問われているのだと思います。

ですのでヘルストロンも、日々テレビで宣伝され続ける、体験談ばかりを紹介する健康食品も、
良心のない事業者と、判断力のない消費者とで成立する商売という点では同じであって、
消費者が賢くならない限りは、この手の商法も無くならないでしょう。

こうした、だいぶ覚めた意見になりました。

しかし、より慎重になるべきなのは、やはり、事業者であろうと思うのです。